2006年03月05日

F332リーザの話

私の住む村にも、春が訪れようとしている

「はふ…まだ肌寒い…」

カタリナさんと色違いのフードをより深くかぶる、だけど空気はそこまで冷たくない。私が今生きているこの世界に、再び春がめぐって来ている

「…しんじられないなぁ…私、まだ生きているなんて」


数ヶ月前、私たちの村は人狼騒ぎというものに巻き込まれた
その時に私だけじゃなく、村の皆は一度…死んだはずだった
なのに全てが終わった今、私は生きている…不思議な行商人だったアルビンさんが、一応私たちに説明をしてくれた。
「この村の狼達は、人狼である以上に人間として行きたがって居たんだ、きっと無意識のうちに致命傷は避けていたんだろう。おまけにルナの力が村全体に影響していたらしく、多少の事では皆死ななくなっていたらしいな。処刑された人たちまで仮死に留まっていたし。それでも生き返るのに時間が掛かったけれど」

正直、理屈はまったく分からない。彼のいう魔法の類どころか人狼の存在だって最初はまったく信じていなかった。鏡に映った文字を見た時も、悪いけれどゲルトさんが襲撃された時も、何かの悪い冗談としか思えなかった。
でも、大人の冗談には乗るものだ…って、お父さんに昔言われたから、それを実行してあわてている振りをした、嫌な予感も少しだけあったけれど、それを私は拒否しようとしていた
……でも、やっぱり現実だと……大昔に魔女狩りのために村に設置されていた処刑台、そこについて行って、レジーナさんが動かなくなって……あの時の感覚は、今後一生味わいたくない


「あ…カタリナさん」
「あら、リーザちゃん…いま帰っていますの?」
「うん……羊さんもふもふしていい?ちょっと寒いの」
「いいですよ。私も今放牧から帰っているところなので、一緒に行きましょう」
「うん!」

カタリナさんの羊に触りながら、私とカタリナさんは村を目指す

「春が来るね」


最近、カタリナさんはちょっと元気がない。やっぱりニコラスさんが旅立ってしまったのが寂しいみたい。私やペーターは身の危険を感じていたからちょっとだけほっとしたんだけど、それでもあの騒ぎの時が一番村が賑やかだったかも知れない。
この村にはもうニコラスさんも、アルビンさんも、陽平さんもいない。あの騒ぎの名残らしい名残なんて未だにちょっとパメラさんがぷるぷるしていたり、私の髪の毛がバナナになっている事位のもの……いやまて、けっこう重大だこれは

正直私は今、なぜかついてしまった自分のこの属性をもてあましている。普通に学校に行くとからかわれてしまうから最近はずっとフードをかぶりっぱなし
村にいればフードを脱ぐこともできるけれど騒ぎの最中旅行に行ってたお母さんには説明するのに苦労しちゃった

「リーザちゃん、最近ずっとそれかぶっていますね?」
「うん…だって学校でからかわれるんだもん。やーいバナナにんげんーって」
「リーザちゃんなら言い返せる気がしますですの」
「カタリナさん無茶言わないで…でも、話せる人がいるから辛くはないよ?持て余しているけど」

これは、本音。村の入り口が見えてきた

何だか良く分からない事まみれで終わってしまったけれど、やっぱり私はこの村が好きで、村に住んでいる皆が好き。狼だった人たちも一旦全員仮死に陥れた事で衝動が収まり、今は人間として普通に生活している


村の中に入ってカタリナさんと別れた後、旅人らしき人に訊ねられた

「この村、人狼の噂があったって聞いたんだけど…」
「うん、あったよ。でも見てよ?この村の人は誰も死んでいないよ。噂は、噂だったよ」

私は旅人に笑顔でそう答え、宿屋とパン屋への道を教えた
笑顔で手を振る姿に、ほんの少しだけ村から出ていった3人を思い出した


「空気がやわらかい…春が、来るね」


posted by 黒味缶 at 00:39| Comment(1) | TrackBack(0) | 人狼BBS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ネットで深く空気とかをカタリナしたの。


Posted by BlogPetのなつあき at 2006年03月05日 09:13
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。